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小説の更新記録 |
9月29日・黄笠・小説でも小話でもない、ただの妄想をつらつらと。
9月24日・黄笠2「つめたいて」
9月24日・黄笠1「あたためて」
9月20日・斎左之9「くちづけの意味」
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特技は何でもBL変換すること。
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黄瀬 × 笠松
「あたためて」
タイトルの艶っぽさは微塵もない感じです。
笠松の言った言葉を聞き間違える黄瀬。
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休日の体育館は、午前の練習を終えて人が居なくなり、静けさを取り戻していた。
その代わりに賑わいだすのが、食堂だった。
もちろん、食堂のおばちゃんたちは休みで料理などは出ないが、自動販売機や電子レンジなどあって、みんな持ち寄った物で昼食を取っている。
他の部活部員たちに混ざって、バスケ部員も散らばっていた。
「センパイ、オレ弁当あっためてきますけど、なんか必要なもんあったら言ってください」
開いていたスペースに座る笠松へ、黄瀬はいつもの語句を並べた。
「じゃあ、コレもあたためてくれ」
「え?!」
笠松が差し出した弁当が見えていないのか、黄瀬は驚いた表情のまま動かない。
「おいっ、早くしろよ!」
怒気の含んだ声にようやく我に返った黄瀬は、睨みつけてくる笠松とは真逆の感情を顔に見せていた。
やわらかい笑みは、少し照れているようにはにかんでいる。
「いいんスか? 悦んで!!」
「ぅ……わッ!!」
言葉と同時に笠松を抱しめた黄瀬は、至福の時に浸っていた。
「センパイ……」
「―――なにしてんだ、おまえは!」
恥ずかしさにいた堪れない。暴れようにも、手にした弁当を無碍にもできず、笠松は自由の利く片手で懸命に黄瀬の体を引き離しにかかる。
「センパイが『オレもあたためて』なんて言ってくるから……」
「んなこと言うわけねぇだろ! 『コレも』だ! 弁当渡そうとしてただろーが?! ってか、早く離れろ!」
「えー。離れなきゃダメっスか?」
「あったりめーだろ?! こんなとこで何してくれてんだよ、まったく……」
「こんなところだから、これだけで我慢してあげてるんスよ」
耳元で囁いてから体を離した黄瀬は意味深な笑みを満面に、笠松へと向けた。
「はぁ?」
うんざり気に不機嫌な反応を見せた笠松には、どうやら伝わっていないようだ。
「男の子は、オオカミなんスよ~」
「はぁ? なに訳わかんねぇこと言ってんだ! 早く行ってこいよ!!」
足をゲシゲシ蹴られながらも、黄瀬はニヤニヤが止まらない。
まだほのかに残る笠松の温もり……。
午後からの練習も、頑張れそうだ。
=終=
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