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小説の更新記録 |
9月29日・黄笠・小説でも小話でもない、ただの妄想をつらつらと。
9月24日・黄笠2「つめたいて」
9月24日・黄笠1「あたためて」
9月20日・斎左之9「くちづけの意味」
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特技は何でもBL変換すること。
人見知りオッサンであります~
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新選組
斎藤一×原田左之助
「酔臥醒然」 中文
壬生さんが設定した(? 生み出した?)この斎左之が大好きで、書かせてもらってます。
もしかしたら…壬生さんの設定とかけ離れたモノになっているのかも…。
年下鬼畜攻め×年上お馬鹿受け
左之っちが酔っ払って、斎藤さんに絡む話。
行為に及んでいるので、注意!
■■■■■■■■■
「だいたいなぁ~、お前はナマイキ過ぎなんだよっ!」
これで三度目となる、酔っ払った原田左之助の管巻きが始まった。最初のうちは止めに入っていた両脇の永倉新八と井上源三郎だったが、もう酒の肴として視線と耳を傾けるだけで、杯代わりの椀をちびちびと口に運んでいる。
「四つも年下のくせに、ヘンに大人ぶりやがって!」
こうして落ち着いて呑んでいられるのも、原田が対象としている斎藤一が挑発に乗ることなく無視を決め込み、刺激しないでいてくれるからだ。
夕餉後に「酒でも呑まないか?」と永倉が誘い、その部屋に集まったのは総勢五名。三人部屋の同室者、藤堂平助は見廻りで出払っていていなかったが、別部屋の三人組原田・斎藤、そして酒も飲まず持参した菓子を頬張る沖田総司が来ていた。
別段、何を語りたいとかはなかったが、こうもクドクド繰り返す原田に嫌気がさしてきた永倉は、椀の中身を一気にあおり、吐き出す息を溜息に変えた。
「もう、いい加減にしろよ左之! 酒が不味くなるだろーが」
「だってぇ~」
「何が『だって』だ! 言い訳にもならねぇ事を喋んな。タダ酒だと思ってガバガバ遠慮なく呑みやがって…」
「ぱっつぁ~ん」
「うっせぇ!! お前はもう寝てろッ」
手に持っていた椀を奪い取られた原田は、喚く言葉も奪われるようにして強引に頭を押さえ込まれ、永倉の膝に叩きつけられた。
「わ~い! 久しぶりのぱっつぁんの膝枕ぁ~」
反省の色もない声音が部屋に響く中、呆れる雰囲気に包まれたそれに染まれず…眉根に苛立ちをみせた者が一人いた。隣に座っていた沖田は目ざとく覚り、原田を一点に見つめる斎藤を露骨に振り返る。
ようやく視線に気付いた斎藤をより自分に惹きつける笑みを浮かべた沖田は、疑問にみちた斎藤をそのまま置き去りにして誰とは無しに喋り出した。
「左之さんて、昔から永倉さんにべったりですよね」
「そういえば、そうだな。今じゃ部屋が違ったりして一緒に見ることもなかったけど、…なんだかこういうの見ると江戸の頃を思い出すなぁ」
話に乗ってきた井上に、沖田はもっと話を深めたものにしようと誘う。
「井上さん、憶えてます? 二人の噂話」
「? うわさ……。――ああ! 衆道話か!」
「ぶッ! ――ゲホッゴホゴホッ!!」
「わっ! 汚いなぁ、永倉さんってば!」
斎藤に期待していた反応を永倉がした事で、沖田は少しの落胆を覚えた。 だがしかし、瞬時にこれからの二人にどう対応すれば面白くなるのかと学習していた。
(過去のことには拘らないってことですか、斎藤さん)
今日のところは失敗に終わった画策も、次に繋がるものになる……と――沖田は一人、実に楽しげにほほえんだ。
「お、おい斎藤…本気にするなよ!? アレは総司が勝手に騒ぎ出したことなんだから……」
「はぁ」
「そ、そんなに睨むなよ…」
素っ気ない返事と鋭く見据えられた眼差しは、ありもしない過去へと妄想を広げられているからだと思っている永倉だったが、 実のところは違った。必死に否定の言葉を投げている最中、原田が永倉の腰に腕をまわして抱きついた事にあったのだ。
「俺を信じろって、っな? 斎藤!」
「ぅん――、……さいとう?」
語尾を強めたその名前に反応して目を覚ました原田は、ぼやけた視界の中に斎藤を見つけて、また絡み出した。
「テメェ! 今までどこに隠れてやがった!! ったく! 四つも年上の俺が喋ってるときにいい度胸だなッ! ――ィテッ!」
一人で熱くなって捲くし立てる原田の頭を叩き、永倉は呆れた物言いで叱りつけた。
「お前が寝てたんだろうが」
「何だよ、ぱっつぁん。あんな奴の味方すんのかよぉ~」
「味方って…。ガキかお前は」
「ぱっつぁんは俺の味方だよな? 年下のくせに大人ぶってるスカしたあんな奴、嫌いだよな?」
「…あのなぁ」
「さっきから同じことしか言えない子供みたいな貴方に、何も言われたくありませんね」
今まで沈黙を守ってきた斎藤がボソリと原田を煽る言葉をこぼした。
「テメェ…もういっぺん言ってみろよ!」
「さ、斎藤もしらふな顔して酔っ払ってんのか? なぁ源さん……――って寝てるし!」
収拾のつかなくなってきた状況に救いの手を井上に伸ばしてみると、このうるさい中気持ちよさそうな寝息をたてていた。もう一人の沖田に目をやると、ニコニコ笑んでいるだけで菓子を食べる手を止めようともしない。
「こらッ! 総司。笑ってねーで止めろ」
「えーっ、いいじゃないですか。面白そうだし~」
不毛な会話に終わったその間にも、原田と斎藤の言い争いは盛り上がる一方だった。
「外へ出やがれ! 今後一切そんなナマイキな口がきけなくなるくらい、叩きのめしてやる!!」
「へぇー、貴方 が 私を ですか?」
どかどかと永倉たちの部屋から先に出て行く原田の後を追うために、唇に薄笑いをのせた斎藤は立ち上がった。
「おい…斎藤」
「大丈夫ですよ、永倉さん。このまま部屋で寝かしつけますから。――それでは、失礼します」
静かに締められた襖の向こうから、息巻く原田の声が響いて届く。
「ほんと、大丈夫かよ……あいつら」
「さすが斎藤さん。左之さんの性格よく判ってるなぁ~」
二人は同時にため息と感嘆とを口にした。
「左之がなんだって?」
「いいえ、何も。さぁ、永倉さん、呑み直しましょう! 私が朝まで付き合いますから」<
椀を手渡して、そこになみなみと酒を注ぐと、今まで大事に呑んできたそれを永倉はグビグビ一気にあおり、
「もう絶ッ対、あいつらとは呑まねぇ!!」
――と、酒臭い鬱憤をめいっぱい吐き出した。
■
「原田さん、お水は?」
「ん……、いる」
一式の布団に寝転がった原田は目を瞑ったまま呟くと、唇にやわらかい感触をおぼえてその心地よさに身体の力が抜けた。隙間から流れ入ってくる生ぬるい水は二口飲み込むと終わりをむかえ、離れてしまう唇に知らずと惜しむような息が零れた。
「ぅん――」
原田の意に答える唇は再び重なり、水のかわりに肉厚の舌が差し込まれた。何かを探るようなゆっくりとした舌の動きに刺激され、下半身の疼きが淫欲へと誘う。
「判ったよ、そう焦ンなって…。可愛がってやるから……」
啄ばむ口付けの合間に声をかけても、反応する言葉も返ってこない。それよりも口付けはさらに激しくなっていくばかりで、予想し得なかった相手の行動に原田はしばし翻弄されてしまっていた。
(――積極的だな…)
けれど、ここで主導権を握られてしまっては男が廃る。 原田の思いはそれ一点に、押さえ込まれていた身体を強引に相手ごと反転させ、逆に押さえ込む事に成功した。
新月の薄暗い光は弱く部屋を淡く染めあげ、なんとも艶かしく相手の輪郭をなぞっている。原田の手も真似て頬に触れた。
「もっと気持ちよくして欲しいだろ? ん?」
言葉の後に、口付けをひとつ。添えた手の親指で軽く頬を愛撫して、軽く触れる口付けを、もうひとつ。頬から首筋へ、そして肌を隔てる着物を剥ぎ直接胸元へ――。
(んん? ……?)
掌に馴染むやわらかさがない事に疑問が浮かんだ直後、原田は初めて相手の声を聞いた。
「誰と間違えたのかは訊きませんけど、私はかなり機嫌が悪いですよ、原田さん。理由は判ってますよね?」
「さ、さぁ……?」
顔がはっきり見えなくても、一気に酔いの醒めた原田には充分に斎藤だと確認できてしまった。しかもこの状況。馬乗りになって見下ろし形成的には有利のはずだが、見上げる斎藤の凄味に口端に引きつったような変な笑みが浮かんでしまう。
「この唇が…私の口付けを憶えていないなんて……」
「――――ッ!」
上体を起こした斎藤はそのままの勢いで原田の唇を奪った。
「んぅんッ―――!!」
逃げようにも力が入らない。器用に帯紐を解かれる衣擦れの音になぜか興奮してしまう自分に原田は気付いた。
「ヤ、止めろぉ…んっ――さいとう!」
「どうして? もっと気持ちよくしてくれるんでしょ?」
先程の原田の言葉を引用して、斎藤は下卑た笑みを見せつけた。
「あれは違っッ!!」
原田の声が飛ぶ。脱がされた夜着を捨て置いた斎藤の手が、戻ってくるなり腿をすべってきたからだ。その先には水面下で期待し辿り着く事を望んでしまっている原田のモノが、さらに硬くなり始める。
「は…ぅんッ」
斎藤がクスっと笑む気配を感じても、締め付ける褌から開放されたモノを揉みしだく手に逆らうことができない。
ただ、首にしがみ付くしかできない。
「――ぅくっん! あぁ……ん、さいとう…」
右肩に額をのせ、悔しげに眉根をよせ訴えてくる原田のなんとも可愛らしい態に斎藤は堪らず唾を飲み込み、原田の腰を浮かせてソコに自分のものをあてがった。
ピクリと反応をみせる原田の深部へと潜り込ませた。
「はぁぁあ!! ――さいとうッ! まっ、ぅ…ヤぁ!!」
「ふぅ…。原田さん、全部挿りましたよ。私はこのままでも気持ちいいですけど、原田さんはどうですか?」
「……気持ち…いいわけねぇ…だろうが!!」
「そうですか。いつもみたいに動かなきゃ気持ちよくなりませんか?」
想起させる言葉を耳元で呟いてやると、原田は身体全体を震わせた。
「そういう意味じゃ、ねぇ…っての!」
懸命に強がってみても斎藤には通じない。判っていても、言わなければどんどん自分を見失ってしまいそうで……。
「動いて、原田さん」
「んなぁッ!!? ンな事できねぇって!!」
「それは、原田さんのココが締め付けすぎているからですよ」
「なに言ってヤガル!!」
勢いのない怒り顔を見上げる斎藤は、穏やかとも企みを含んだとも取れる笑顔を向けて原田に口付けた。最初は逃げようとする原田の後頭部を押さえつけていたが、だんだんとそれも必要なくなってきて逆に求めるようなそぶりさえ見受けられた。
「ほら、やわらかくなってきた」
「……――バカヤロォ」
「これで動けます?」
「そういう問題じゃねぇッテノ!!」
「女性とするときは動かすでしょ?」
至極真面目に問いただしてくる斎藤に、原田はたじたじと喚く。
「使い方が違うだろォが!!」
「では、これから実践していきましょう」
「なぁッ!?」
腰を持たれ上下に揺さぶられ、聞き入れられない言葉はやがて官<能的な声にかわり、掠れる頃には鳥の囀りが朝を告げていた。
=終=