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小説の更新記録
10月6日・黄笠3「とびらのむこう」
9月29日・黄笠・小説でも小話でもない、ただの妄想をつらつらと。
9月24日・黄笠2「つめたいて」
9月24日・黄笠1「あたためて」
9月20日・斎左之9「くちづけの意味」


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プロフィール
HN:
夕凪紫雲(ユウナギレンゲ)
性別:
女性
職業:
育児主婦
自己紹介:
ただいま育児奮闘中。
特技は何でもBL変換すること。
人見知りオッサンであります~

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BL・女性向け・同人要素てんこ盛りな小説がおいてありますので、御注意ください
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新選組
斎藤一×原田左之助
「残痣」 短文

壬生さんが設定した(? 生み出した?)この斎左之が大好きで、書かせてもらってます。
もしかしたら…壬生さんの設定とかけ離れたモノになっているのかも…。

年下鬼畜攻め×年上お馬鹿受け

キスマークにまつわる話。
イチャイチャ程度の表現あり。



■■■■■■■■■
 



「なぁ兄ちゃん、もういっぺんしよーや!」
「ああッ? ん……、そっちのぉ――総司にしてもらえ。俺ぁ、ちょっと休憩」
「お兄ちゃん、ダっこぉ~」
 盛大な息を吐き出して疲労の色濃い顔を両袖で拭った原田左之助は、近くの石段に座り込み、せがむ女の子を膝の上に乗せてやった。
 折角の非番をこんなことで潰すつもりはなかった……。
 別段、することなどなかったが、ゆっくり…のんびりするつもりだったのに。昼間っから元気に子供らと遊ぶ沖田総司に見つかったのが悪かった。
(いや、あいつも非番だって知ってたのに壬生寺の前を通った俺が悪い、かぁ~)
 お陰で陽の傾く今までに、かくれんぼや鬼ごっこをさせられ、元気の余りある男の子には剣術の練習を要求され……休む間も与えられなかった体は悲鳴をあげている。
 よくよく考えてみれば判る事。いつも事が起こってから悔いる自分に、疲れとは別の重たいため息が出る。
 男の子の単調な撃を棒切れで受け止めていた沖田は、それを横目で見やり、思いを察してクスっと笑んだ。
「なぁなぁ、お兄ちゃん。ココ、どないしたん?」
「んぁ?」
 見上げてくる幼声に訊ねられ目を合わせようと下を向こうとするが、顎下に突き刺さった小さな指に阻まれた。
「ッ? なんだ??」
「ここ、イタないん? アザなってんで?」
「痣?」
 心配気な声音に一抹の不安を覚えた原田は沖田を呼び寄せる。自分で見ることができない位置にある痣を触ってみるが、腫れているわけではないし痛みなども全然ない。それを触り続けこすっている事の方に、ヒリヒリしてくるほどだ。
「どうしたんです?」
 男の子を引き連れてきた沖田に痣を見てもらうと、「あぁ」と呟き二度ほど頷いた後ケロリと言ってのけた。
「吸われたんですね、斎藤さんに」
「……ッ――――――ナ!!!!」
「なぁ、スワレタって何なん?」
「兄ちゃん、血ィ吸われたんかぁ?」
 疑問がまだ残る子供らを沖田が何とかあやす間、原田は独り怒りと恥ずかしさとの入り混じる感情の中に閉じ込められていた。

「んだよ……見えやしねぇ」
 短刀を抜いて刃の表面で試みても、顎下にある痣は見ることができない。沖田の話では薄く消えかかっているというが、自分で確認してみないことには落ちつかない。
 腹が減っていたがなんだか人前に出る事に抵抗を覚えてありつけず、部屋で苛立ちを募らせていた。
 そこへ、襖を開けた斎藤一の一声が鋭く響く。
「原田さん! 何しているんですか!!?」
 傍目から見れば怪しい行動をしている原田に飛びつき、持っていた短刀を素早く取り上げた斎藤は息を荒げて睨みつけた。
「何って、見てただけだろ」
 原田も負けじと睨みかえし、意味を理解し得ないという顔の斎藤から短刀を奪い返して鞘におさめた。
「見えねぇ所に痕残しやがって……」
 頬を膨れさせ右手で顎下を擦りだしたその行動を見て、斎藤はようやくすべてを飲み込んだ。
 そして、ふつふつと湧き上がってくる――悪戯な邪。
「見えるところに、したほうがよかったですか?」
 ゆっくりと詰め寄る調子に、言葉を合わせる。
「別に隠したくてその場所にしたわけではないのですよ。原田さんが感じる時顔をのけぞらせるから、あまりの可愛さに、つい」
 計算された、斎藤の行動。
 この動作の合間に、原田は気付くのだ。
 ――自分の言動が、私の欲望を煽ることを
「なッ! さ、斎藤……コラッ!!」
 ――慌てる反応が、私の欲望を加速させることを
「どこがいいですか? 原田さんが、よく見える場所……」
 その言葉を聴くと、後退りしていた原田は急に向かう矛先を変え、斎藤の着物の袷をつかむと勢いよくはだけさせ、そこへ顔をうずめた。
「!」
 思いもよらない原田の行動に言葉を失い、斎藤はただ凝視していた。
 胸に痕を残そうと懸命に吸い付く、原田の姿を。
「……原田さん……」
 驚きは消えたが、興奮が一気に高みへと駆け昇る。
「俺の一番よく見えるところだぜ」
 どうだ! と言わんばかりの逆襲劇が成功したと思い込んでいる原田は、反応に遅れた。
「うわ!」
 この言葉さえも、斎藤に身体を押さえ込まれ胸に唇を押し当てられた後に出てきたものだった。
「さいとぉ! ぅ……ヤメろってば!!」
 見なくても胸に感じる斎藤の唇の場所は、先程原田が斎藤の胸につけた<それと重なる。<
 唇の濡れた音が鼓膜を震わせ、続けて斎藤の色づく声に身体が震えた。
「見て、原田さん。この痣……原田さんの胸にもあるんですよ」
 原田の手首をつかむと、斎藤は自分の胸にある痣を触らせ、
「同じ、場所に」
 そして斎藤も、原田の胸の痣を指で撫でる。
「ふぅ……ン、ぁあ……ぁ!」
「原田さん……」

 力の抜け落ちた原田の唇をやさしく吸って、
斎藤はそっと……自分の胸に手を置いた。

 

=終=

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