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小説の更新記録 |
9月29日・黄笠・小説でも小話でもない、ただの妄想をつらつらと。
9月24日・黄笠2「つめたいて」
9月24日・黄笠1「あたためて」
9月20日・斎左之9「くちづけの意味」
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特技は何でもBL変換すること。
人見知りオッサンであります~
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斎藤一×原田左之助
「甘い菓子の味わい」 短文
壬生さんが設定した(? 生み出した?)この斎左之が大好きで、書かせてもらってます。
もしかしたら…壬生さんの設定とかけ離れたモノになっているのかも…。
年下鬼畜攻め×年上お馬鹿受け
弱っている斎藤さんを雑に看病(?)する左之っち。
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いつになく軽快な足取り。
原田左之助は、夕餉に出された大好物の焼き魚がもう一匹腹におさめられた嬉しさに加え、沖田総司が分けてくれた饅頭を頬張り、幸福感に充たされたまま自室の戸を開けた。
「ぬぉ!?」
灯の落とされた闇の室内に、気配をまとった影が横たわっている。誰もいないと思っていた原田は一瞬驚きはしたものの、自分の身体で遮っていた戸口からの月明かりを入れようと中へ入り、確かめようと身を屈めて覗き込んだ。
「……だれだ? 斎藤……か?」
「ぅ……んぁ……。あ…はらださん」
らしくなく、斎藤一はだらしない姿を見せていた。原田が改めて斎藤なのかと全身を見返すほど。
寝惚けた、声。きちんと着付けられた袴のすそが捲れ上がり、布団も敷かずに畳に突っ伏した姿。いつもとは別人のその姿に、覗き傾いでいた首がより角度を増す。
「……どうしたんですか?」
「そりゃこっちの台詞だ! 何してんだよ、おまえ」
「ん……。ちょっと、疲れてて……」
斎藤の目蓋は半分しか開かず、上体を起こそうとする腕にも力が入らないのかもぞもぞとするばかり。見かねた原田は、強引に斎藤の額に手を当てると後頭部を畳に押し付け、動きを止めた。
「熱はねぇみたいだな」
抵抗もままならない斎藤は仰向けの状態で、立ち上がり遠のく原田を見た。
「邪魔だから、もうちょっと横に転がってろ。布団敷いてやっから」
「……すみません」
斎藤のつぶやきに背中をむけて、原田は最後の一口となった饅頭を口に入れた。手についた粉を腿辺りの着物ではらい、押入れの襖を開けて一式の布団を敷き終わるとそこへ斎藤を促した。
「袴ぐらい脱いどけよ。その間になんか持ってきてやっから」
「あぁ…いいです。もう、じゅうぶんですよ。ありがとうございます」
「遠慮すんなって。――疲れたときは甘いものを食べると元気がでるって総司が言ってたな」
「あの…はらださん。食欲ないんで、ほんとにいいです……」
気遣ってくれる事がよほど嬉しいのか、難しく凝り固まっていた斎藤の頬がやわらかく緩む。
「あ、ちょうど総司がたんまり饅頭仕入れてきてたんだぁ。あれかっぱらってきてやるよ」
「甘いものは…ちょっと……。できればお水のほうが……」
「俺も今さっき食ったけど、結構美味かったぜ。水と一緒に持ってきてやるよ。ちょっと待ってろ」
しゃがみ対話をしていた原田が立ち上がろうとした腕を、力のない掌が引きとめた。
「いま、食べてた?」
「んぁ? ぁあ、もうないぞ。食っちまったから」
「じゃあ、これでいいです」
「だから、ないから取って――」
言葉を続けられないほど近づけられた顔。チロリと覗かせた舌で原田の唇を舐める斎藤は、それを何度も繰り返した。
「ン! ――ん、何してんだッ!」
斎藤の胸に置いた手を突っぱね、容易にはなれた唇を手の甲で拭い、もう一度立とうとするが、今度はいつも通りの力強さで引き止められた。
「甘くて美味しい」
「だ、だから持ってきてやるって言ってんだろォ。離せ」
「これがいい」
「はぁ!?」
「原田さんの、これがいい」
片方の手が頬に添えられ、親指の腹が舌で舐め取った時のような動きをする。
「ねぇ、原田さん。口…開けて」
唇をかたく閉ざして、原田は首を振った。拒否の言葉をしてみようものなら最後、親指が割って入り、斎藤の舌を侵入させてしまうと想像できてしまったから。
そう、頑強にしていたはずなのに……。
「おねがい…原田さん……」
せがむ斎藤が近づくにつれ、潤んだ瞳に絆されて原田の唇が弛む。
「はらださん」
吐息を吹き込んでから重なる唇。それを飲む間も与えられず、吸い取られる舌。
卑猥な濡れた音をたてて蠢く斎藤の舌は、口の中にあった甘味すべてを舐め尽くしてゆく。
「はぁん……」
まだ足りず、もっと奥まで求める斎藤は、原田の身体を支えながら布団の上に倒し、なおも貪る。
「んぅ……んッ」
「甘い原田さんを食べてたら、本当に元気になりました」
腰を押し付けてくる斎藤に、原田は今更ながら睨みつける。
「……んなとこ、元気にさせてんじゃねぇ!」
―――――――そんな言葉でさえ、甘い甘い菓子の味わい。
=終=