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小説の更新記録 |
9月29日・黄笠・小説でも小話でもない、ただの妄想をつらつらと。
9月24日・黄笠2「つめたいて」
9月24日・黄笠1「あたためて」
9月20日・斎左之9「くちづけの意味」
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特技は何でもBL変換すること。
人見知りオッサンであります~
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新選組
土方歳三×沖田総司
「SEIN」 極短編。
想いに沈む土方さんと、少し大人っぽい総司の話。
■■■■■■■■■
すべてが闇だ。
謀を巡らして動き回り混乱の世を作り出すのも、人知れずながす涙も。
――闇に存在する。
《誠》という確かな光りを胸に、抜刀する。
白刃が舞い、残影を生む月夜――溶かす闇夜、それらを問わずに。
一度刀を構えれば鬼となり、新選組隊士として志を示す。
その中の副長の座に就く土方歳三には、鬼という形容で括りきれない静かなる気迫があった為、〈鬼神〉の異名がつけられた。
刀を鞘におさめれば、鬼は自ずと封印される。
だがしかし――不機嫌を張りつかせた顔、長身で無駄を削ぎ落とした体格のよい躰を持つ土方の場合は〈神〉が封印され、鬼は……本性なのだろう……と隊士たちは皆一様に頷く。彼が感づいているとも知らずに。
『土方さん』
別段その肩書きが邪魔に思えたことはない。
ただ……、ヤツだけが自分と隊士との違いなく喋りかけ笑いかけてくる事が、不思議だと思った。
『……土方さん?』
沖田総司だけが、昔と幾分の違いなく傍にいる事が、不思議だった。
――お前にだけ、俺はまだ人として映るのか……?<
「んー、そうですねぇ~」
「…………――――ッ!」
突然現実に引き戻された土方の驚き顔を見て、実に楽しげにほほえむ沖田がい
土方の部屋。一式の布団にくるまる二人は、まるで鏡合わせのように片腕を枕にして横になっていた。障子戸を背にした沖田には、明け方の光りに照らされる土方の顔がよく見えた。
「………………」
間延びした声は、土方の声を奪う。
心の中での疑問に、なぜ総司は答えられたのか……?
「布団の中で二人きり、それも裸となれば、人は人でなくなります。それは私も土方さんも例外なく、本能だけの動物になるんです」
はだけた夜着の襟元から白く細い首筋のいたる所に、昨夜熱い吐息とともに土方がつけた痕が、よりいっそう沖田を艶かしく見せる。
「あ……、違うか」
思案するしぐさの沖田は少し意地悪い笑みを浮かべて、
「昨夜の土方さんは、猛獣」
そして、もう一声、
「――けだもの」
沖田は未だに言葉の一つも出てこない土方の身体の上に乗っかり、首に腕をまわして抱きしめた。
――いとしい人
笑いにまぜて囁く。
――愛しい人……
=終=