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小説の更新記録
10月6日・黄笠3「とびらのむこう」
9月29日・黄笠・小説でも小話でもない、ただの妄想をつらつらと。
9月24日・黄笠2「つめたいて」
9月24日・黄笠1「あたためて」
9月20日・斎左之9「くちづけの意味」


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プロフィール
HN:
夕凪紫雲(ユウナギレンゲ)
性別:
女性
職業:
育児主婦
自己紹介:
ただいま育児奮闘中。
特技は何でもBL変換すること。
人見知りオッサンであります~

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BL・女性向け・同人要素てんこ盛りな小説がおいてありますので、御注意ください
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新選組
斎藤一×原田左之助
「意馬心猿」 中文

壬生さんが設定した(? 生み出した?)この斎左之が大好きで、書かせてもらってます。
もしかしたら…壬生さんの設定とかけ離れたモノになっているのかも…。

年下鬼畜攻め×年上お馬鹿受け

大事な任務を翌日に控えていた原田は、斎藤のイタズラを受けたくないと沖田を餌でつって部屋に留めておくことに成功…したかに思われたが、沖田に反故されて…。
イチャイチャ程度の表現あり。


■■■■■■■■■



「あぁ~あッ!」
 突然、落胆の声をあげた沖田総司に、ひとり就寝の仕度を万全に整えていた原田左之助は、驚きのあまり寝転がっていた身体を勢いよく起こした。
「! ンだよッ、いきなり!?」
「あ…、ゴメンナサイ。思い出したら悔しくなっちゃって」
「何を?」
 もう一度横になり、ひとつ欠伸をしている間、沖田はツツツと近づき膨れた頬が弾ける勢いで経緯を紡いだ。
「斎藤さんに負けたんです。稽古のとき」
「なんだよ、そんなことか」
「左之さんはいつも負けているから『そんなこと』で済ませられるかもしれないですけどねぇ」
「なっ!?」
 さらりと嫌味を付け加えた沖田の熱は更に上がる。
「私と斎藤さんですから五部の勝率。負けてしまっても敗因さえ理解できれば、次に挑む時の楽しみになりますから、それはいいんです。そんなことじゃないんです!」
「んじゃ、何なんだよ!」
「ただ手合わせするだけじゃつまらないので、『負けた方は勝った方の言う事をきく』ってことになってて、勝った斎藤さんは何て言ったと思います!!」
「……さ、さぁ?」
「『今日の晩、土方さんの部屋で寝てください』ですって! そんなの罰でもなんでもないし、面白くないじゃないですか!!!」
 原田はその言葉をきいて、沖田がなぜ怒っているのか懸命に探り出そうとしたが、考えれば考えるほど首を傾ぐ角度が増してゆくばかり。そんな原田を置いてけぼりにして、沖田はまだブツブツと口を尖らせたまま言い続けている。
「ま、まぁいいんじゃねぇの? 無理難題吹っ掛けられたわけじゃないんだしさ」
「そこが面白くないって言ってるんです! 土方さんの部屋で寝るくらいいつもしてることなんですからー」
 またもや膨れていく沖田の頬を見て、原田が呆れ果てた溜め息を吐ききったとき、頭に引っ掛かりを覚えてはたと動きを止めた。
「…………」
 なんだったのか……。遠くの記憶を見つめていた視線が現実へと焦点を合わせた先に、沖田の膨らんだ頬に浮かぶ不自然な笑みを見た。
 その刹那――。
「総司! てンめぇ!! なにヘラヘラ笑ってやがるんだよ! オラ!」
 沖田に飛びかかった原田はその衿を掴んで引き寄せ、怒りに満ちた顔を間近にした。
「きゃあ~!」
「『きゃあ』じゃねぇよ! 今日のために奢ってやっただろ? 栄佳堂の餡蜜を! おまえが、あれじゃなきゃ嫌だって言ったから奮発してやったのに……」
 笑顔を崩さない沖田と、落胆の引き攣った笑顔を貼り付けた原田。そんな原田を見て沖田は暢気に疑問を口にする。
「やっぱり餡蜜はあそこに限りますね~。……って、あれ? どうして左之さんに奢ってもらったんだろ??」
「そ~れ~は~!! 明日の早朝から大事な任務が控えてるからだッ!」
「ああー! そうだった、そうだった。それで、左之さんの安眠を妨げる原因である斎藤さんの悪戯を阻止させるために、私をこの部屋で寝かせる――いわゆる、拘束料として奢ってもらったんでしたね」
「そうだよ! 結構こと細かく憶えてるじゃねえか、アアっ!」
「でも、何かこれって」
「あ?」
「早朝の任務がなかったら、斎藤さんにイタズラされても一向に構わないってことにもとれますよね。なんか……左之さんヤラシイ~!」
「なっ!」
「アハハ」
「『アハハ』じゃねぇよ! 斎藤との事、断ってくれるんだろうな? 俺との約束を守ってくれるよな」
「ん……」
 逡巡する時でさえ己の心に真っ直ぐな沖田は、原田の慌てふためき困る様がどうにも楽しく面白く思えてしまい、つい笑みを深くしてしまう。
「左之さんの気持ちを考えると断りたい気持ちはありますけど、斎藤さんとは男と男の勝負事で決まったことですから、今回は、――>左之さん、ゴメンナサイ!」
 殊勝に答えたつもりだったが、如何せん、正直を滲ませた表情を見取られ、原田は怒りを爆発させた。
「コナクソぉ!!! なにがゴメンナサイだ! 笑いながら言いやがって!! 奢ってやった餡蜜返しやがれ!」
「あはは~ 、それは無理ですよ。もうとっくの昔に消化されてますから、きっと」
 子供っぽく攻撃してくる原田を、沖田は乱暴に身体を揺すられながらそれらを受け止める。とうてい年上とは思えない言動に、どうして怒りなどが生まれようか。
「寝不足で明日死んだら、おまえを呪い殺してやるからな! 憶えとけよ!」
「物騒な言葉を口にして……。いったいどうしたんですか?」
 ふたりきりだった空間に、障子戸を引いて部屋に入ってきた斎藤一は笑顔で攻撃を受け流している沖田と目を合わせて疑問を投げた。すると沖田はいとも簡単に原田から身をそらして斎藤の背後へと回りこんだ。
「助けてください、斎藤さん! 左之さんッたら恐いんですぅ~」
「そうしたんです?」
「今日の賭けのことを言ったんです。そしたら、左之さん――今日だけは斎藤さんと二人っきりになりたくないって……」
 原田が声の主に鋭い視線をあてると、沖田はわざとらしく大袈裟に肩をすくみあがらせ、後方の開いていた障子戸へと後退りし、ゆっくりそれを閉めて自室を後にした。
 部屋に残るふたりの沈黙。そして、
「……原田さん」
 静まり返った空間へすぐに飲み込まれてゆく、微かな声。
 わけの判らない気まずさに、原田は身を強張らせた。
 あの、情事がはじまる時に似た――胸の高鳴り、熱くなる身体――不安定な気持ちを打ち消そうと……。
「さぁ、早く布団に入ってください。明日は寝坊しないようにちゃんと起こしにきますから」
「お越しにくる――って、おまえどこ行くんだよ」
「はぁ……。どなたかの部屋へ間借りしようかと。まぁ季節柄、丁度いい気候なのでどこでも眠れます」
 おやすみなさい、と斎藤が声を漏らすよりも先に、怒りを含んでいるような強さで原田は少し早めの口調で言葉を放つ。
「別に出て行くことねぇだろ。ここはおまえの部屋でもあるんだしよ。……俺は明日に支障がでねぇように早く寝たいってだけなんだからっ」


 灯りを落として、もう一刻ほど経っただろうか。
 闇の帳にじんわり滲む月明かり。それらに包まれても原田はまだ眠れずにいた。
 誰にも邪魔されることはない、安眠漂う静けさの中にいるというのに、寝返りと溜め息を繰り返していた。
 眠らなければならないと思えば思うほど目は冴え、天井の木目を追えることに苛立ちは増していった。
 いったい、どうしたというのか……。
 幾日も過ごし、眠ってきた自分の部屋だというのに、居心地の悪さを感じてならない。いつでもどんな場所でも、気にすることなく眠れる性質のはずなのに。
 ――違和感。
 そう漠然と思うのに、……瞳だけが疑問の答えを導く。
 視界に捕らえる、斎藤の姿。
(ああ……そうか)
 二つの布団の間の、距離。
 自室の部屋でふたりきりの夜というのは、必然的に情事があり、ひとつの布団でそのまま眠ることが常であったから、この少しの距離に違和を覚えていたのだ。
(…………………。―――――――!!!)
 ようやく思いもまとまりをみせ一瞬納得はしたものの、そのまた一瞬後には全面的に否定し、感傷に浸りかけた自分を嫌悪した。
 内面で叱咤する激情は表にも見え隠れしていて、横になってから今まで原田を静かに見つめつづけてきた斎藤の口を開けるきっかけを作った。
「眠れないんですか?」
「な、なんだよ……おまえこそ、寝てなかったのかよ……」
 驚きと恥ずかしさにどもりながら続けた原田の声とは対照的に、斎藤の声音はとてもやわらかく微笑と相まって、淡く幻想的に室内を包む。
「ええ。眠れなくて、ずっと……原田さんを見ていました」
「は? ンなつまんねぇもん見てねぇで、さっさと寝ろ。朝起こしてくれる奴が寝過ごすんじゃねぇかと思ったら、ますます寝にくくなるだろぉ」
「そうですね」
 原田の言葉に肯定したにもかかわらず、斎藤はそのまま目を閉じることはせずに身体を起こし、少し離れたこちらの布団へと近づいてきた。
「何しに来てんだよ!」
「もうそろそろ寝なければ、明日が辛くなりますからね」
「だから! なんでこっちにくるんだよ!」
「だから、ですよ」
「はぁ? 何言ってんだよ……」
「だから、こういうこと――ですよ」
「――――ぅン!」
 危険を察知した原田が肘で上体を起こすその間に、斎藤は浮いた背中に腕をまわして抱き寄せ、唇を重ねた。
「どうして眠れなかったのか、判りますか?」
 唇の感触に戸惑う原田は、どうにか悟られまいと必死に答えた。
「そ、そりゃ……あれだ。明日のことで緊張してンだよ。……悪いか!」
「原田さんが緊張? 冗談でしょ」
 クスクス笑う斎藤の息が顔に触れてくるのがたまらなくて俯いた原田は、それでもなお強気な声を出す。
「んじゃなんだって言うんだよ! おまえに判るって言うのか!?」
「ええ」
 自信有り気に短く言うと斎藤は、原田の頬に手を触れて、軽く力を込めて後頭部に隠れてしまっているその顔を上げさせた。
「足りてないんですよ」
「はい?」
「原田さんの中で、私が不足しているんです。 だから、いつまで経っても眠れずにいるんです」
「ちょ! ちょっと待てって!」
 笑みを近づけてくる斎藤をどうにかこうにか押し留めて、主張を続ける。
「わけわかんねぇこと言いやがって! んな馬鹿げたこと信じられるかッ!!」
「そうですね。ですが、こればかりは実践して原田さん自身が実感しないと」
「わぁ! やめろォ!」
 今度ばかりは斎藤を押し留めておく言葉も、押しのける腕もすべて塞がれてしまった。
 深くなる口づけ。密着する熱をおびた身体。
「っ……は…あ!」
「少し唇を吸っただけで、もうこんなにして……」
 下肢をたどる手がやらしく踊る。
「あぁ! ん……や、やっ!」
 斎藤の体温に包まれて、心が惑う。
 拒絶しているはずの強い思考が、敏感に反応する身体へと溶けてゆく……。
「私で充たされれば満足して眠れますよ、きっと……ね。早く眠れるように今日は意地悪しませんから……おとなしく私を感じててください……」
「はぁあ!! さ、さいとぉ……」


 翌早朝、爽快なまでの目覚めのよさに、原田は自分を抱き包み眠る斎藤に複雑な視線を落として任務へと出かけた。


=終=
 

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