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小説の更新記録 |
9月29日・黄笠・小説でも小話でもない、ただの妄想をつらつらと。
9月24日・黄笠2「つめたいて」
9月24日・黄笠1「あたためて」
9月20日・斎左之9「くちづけの意味」
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特技は何でもBL変換すること。
人見知りオッサンであります~
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新選組
斎藤一×原田左之助
「君の声を纏う言葉」 短文
壬生さんが設定した(? 生み出した?)この斎左之が大好きで、書かせてもらってます。
もしかしたら…壬生さんの設定とかけ離れたモノになっているのかも…。
年下鬼畜攻め×年上お馬鹿受け
斎藤に追い込まれていた左之が、打開策を練りだし、叫んだ言葉とは…
イチャイチャ程度の表現有り。
■■■■■■■■■
「…………」
月夜を背に、原田左之助はそっと開けた襖の奥に視界を巡らせ、部屋にいない相手に毒づいた。
「総司のヤロウ……」
細める目を闇に揺らめく灯りへ据え睨みつけた。けれどその瞳には、若干の安堵も含まれている。
(まぁ、アイツもいないってのが救いだな…)
その場から 身に及ぶ危険を回避できそうな所へ行く為、襖を閉めようとした手が温もりに包まれた。
「! ……ゲッ!!!」
「沖田さんなら、先程出て行かれましたよ。――枕を持って」
外への逃げ道を塞ぐように背中にピタリと張り付く斎藤一は、首を傾げ語尾を相手の耳に直接吹き込んだ。驚きに大きく揺らいだ肩を見遣って、思い通りの反応に頬が緩む。
牽制し、肩越しから睨みこむ原田はその余裕めいた表情に、より一層眉を顰めたが、それに比例して斎藤の笑みも深くなるばかりだった。
「――ンだよッ! いい加減、手ェ放しやが――ッン!!?」
怒りが増して声を荒げ出したのを人事のように見つめ続けていた斎藤は、原田の頤に手を添えると唇で言葉の先を塞いだ。襖に置いていた手が震えてガタガタと静寂の中を渡り、合間に聞こえる吐息が、空気に解け切れず淫らに疼く場所を刺激する。
「ふぁ……ん――やめ………」
「原田さんこそ手を放して。――じゃないと、この状況……誰かに見られてしまいますよ?」
私は一向に構いませんけど。と言い続けそうな微笑に、原田は顔を苦く歪めながらも体の支えとしていた手の力を抜いた。上手く膝に重心を乗せれずふらつく身体を、斎藤は後ろから抱きとめ、その反動で二人は部屋の中へと入った。
「もう、立っていられない? 原田さんは唇を吸われるのが本当に好きなんですね」
「! ちがぅ――ッン!!!」
音も立てず襖を後ろ手で閉め外とを遮断した斎藤は無遠慮に、抗議する言葉ごと原田の唇を貪りはじめた。
相手の意のままになるのを懸命にもがいて抵抗する原田だったが、唇に割って入ってきた舌の感触が一瞬、すべての行動を無効にした。
「ん? 違うって、何が?」
見計らった言葉。斎藤は膝から崩れ折れる原田を支えながらゆっくりと床に寝かせると、覆いかぶさり上から優越満面にほほえんだ。
返ってくるのがどんな罵詈雑言であっても、この顔は崩れないだろう。目の前に広がる原田は顔を赤らめ、瞳を潤ませ、浴びせる言葉が見つからず口を震わせている。それらがどんなに斎藤を高揚させ煽るのか、原田は知らない。
「す、好きじゃねぇよ!」
「………………」
ようやく絞り出した声は意識しないとみっともなく震えてしまいそうだったのでわざと大きくしたが、斎藤の反応が無く、それがなぜだか焦りになって原田は捲くし立てるように続けた。
「男にされて、好いわけねぇだろ! 気持ち悪ィってんだ!!!」
「でも、私のは気持ちいいってことですか?」
「はぁ?!」
自信たっぷりな言い様に原田は呆れて声を漏らす。どうなったらそういう解釈が出来るのか……。だがしかし、斎藤はその答えを行動で原田に示した。
「だって……」
「ぅはぁッ!!!!」
今もっとも敏感になっている原田の下肢部を形どるように指先でなぞり、硬く熱いことを認めさせた。
「ほら、ココ……こんなにして。これでもまだ、何か?」
「クソッ……コラぁ! 手ェ退けろよ!!」
素直に放した手は頬に添えられ、原田はこの先に待つ斎藤の行動に息を飲んだ。
とても、愛しむ目には見えない……。
「何だってんダ!」
「そうですね。……では、じっくり検証していただきましょうかね」
言い終わりには、唇を重ねられていた。
(検証って、ナンナンダヨ!!)
文句が叫び飛ぶ、唇。抵抗し暴れる、腕や脚。
それらすべて、先手を打たれ巧みに押さえ込まれてしまっていて、原田は逃げ場も無くもがく事しかできなかった。
「んんッ!! ――ぅぅう゛」
無駄だと判っていても暴れずにはいられない。そのつけが、徐々に体力を奪っていく。酸素をたくさん欲しがる体内に急かされて、鼻からしか供給できない少量のそれに、胸部がピクピクと忙しなく苦しさに悲鳴をあげる。
下目蓋に溢れてきた涙はすぐに眦を過ぎ、幾度も横に滑り耳元を流れる。揺れる視界には、憎たらしいくらい艶美な瞳が笑み、次にはその唇が迫ってきていた。
(――――!!)
きつく瞑った目蓋から大粒の涙がこぼれたそれを、斎藤の舌は道を辿るように舐めとり、今までにない優しい声音で名前を呼んだ。
「……原田さん……」
「はぁ、はぁ、んッ。あぁ、……アぁ……ッア! …ん……」
繰り返し呼ばれる声は淫らに原田の鼓膜をくすぐり、胸は苦しさよりも堪えがたい欲情を訴えている。
「どうしました? 原田さん」
下肢が熱い。触られてもいないのに、ズクズクと疼く。
何かで蹴散らかさなければ、そこに意識が集中してしまいそうで、原田は唯一自由な口を動かした。
「お前…ンかッ、キライだ!」
しかしそれも、再び重ねられた斎藤の唇にふさがれてしまった。
隙あらば繰言のように「嫌い」と叫んでいた原田だったが、回を増すごとに口付けは濃厚になり息もままならないほどになっていた。
(く、苦しい! 殺す気かよ、コイツ!!)
身の危険を危惧しだした原田は、回転の鈍くなっている頭でこの打開策を練り、ようやくまとり導き出した答えを懸命に叫んだ。
「すき! ……さ、斎藤……ンん。好き!」
「――――――!!」
ピタリと動きの止まった斎藤が、唇からそっと離れてゆく。答えが正しかったと確信した原田は、解放された口から新鮮な空気を存分に吸い込み、何もかもが『一件落着』したのだと思っていた。
――斎藤から、呼ばれるまでは……。
「原田さん……。今、何て……?」
「んあッ? 何って、好――――!??!!!!!!!」
ほんの束の間の、光明から暗転へ……。
「あ! わ! 違ッ!! 『嫌い』っつったらお前が酷くするから、逆を言えばいいと思って言っただけだぁ!!!」
「はぁ…。原田さん」
考えの浅さに今更気付き喚く原田が、あまりにも可愛すぎて斎藤は軽い眩暈を覚える。
「もう、酷くしませんから」
言葉の後に続くのは、意味に沿った甘い口付けと――熱を放つ、おこない。
=終=